【旬】人生の先輩方から教わった季節の感じ方
こんばんは。
突然ですが、今年(というか毎年?)の立春は、2月4日。
節分の翌日なんだそうです。
節分で鬼を追い出し、福をうちに収めたら、ようやく“春”が訪れるそうです。
節分と聞くと、よく閉店した店内で、仲間と豆を(散らかるので小袋に入ったまま)当時の店長を鬼にして投げ合ったのを思い出します。
歳の数だけ食べる豆。
年々、口の中の水分が奪われていって大体15歳ぐらいでギブですね。
数日前、総合病院の精神科で診察を受けた帰りに、近所の小さな八百屋さんへ行ったときのお話です。
いつも使うスーパーには売ってない野菜が並ぶ、小さな八百屋さんが、そのスーパーの斜向かいにあります。
レジはひとつだけお店の中央にあって、髪が真っ白で首のあたりに丸っこいお団子を結ったメガネのおかあさんが、ご主人と切り盛りしてる八百屋さんです。
たまーに、スーパーで満足いく野菜がゲットできない日に利用させてもらってます。
その日はたまたま逆方向からの帰り道だったので、のぞいてみました。
今日はどんな野菜があるかしら。
ふきのとう 180円
まだ蕾のようで、ころころっとしていました。
それが安いのか高いのかよくわからないけど、病院に付き添ってくれて一緒に買い物をしていた彼が、
『もう、ふきのとうが売っとる!』
と手に取るのです。
そのあいだにワタシは
セリ 3束100円
を発見しました。
大好物なんです、セリ。
ほんのちょっとのセリが300円近くする時期もあるので、ワタシはそれを持って、ふきのとうと一緒にレジに向かいました。
『あれっ、こーんな若いもんが、ふきのとうの食べ方なんて知ってるのかい!
おっ!このセリはね、今日大特価だよ!他の八百屋じゃあこんな安く買えないからね!』
と八百屋のおかあさん大興奮。
『東京のヒト?ちがうでしょ?』
実はこの会話、もう3回目。
「このふきのとうを湯がいて、細かく刻んで味噌と混ぜたら、かーっ!また美味しい“ふきのとう味噌”になるんですよね!」
と彼はあたかも初めて教えます!かのように出身地を教えたあと(もう一度言いますが、このやり取りもう3回目です。)ふきのとうの調理法までサラッと伝えました。
『セリは、どうやって食べるんだぃ?』
ここはワタシの出番!
自信満々に、
「お浸しにします!!!」
……普通ぅ。
3束もあるなら、なんかもっと格好良くシメたかったなぁ。
言ったあと少し後悔。
そのあと特に八百屋のおかあさんからは、これといった返答はなく(笑)
『はい、いつもどうもありがとうねぇ』
「ありがとうございまぁす」
とうちに帰りました。
ふと、たしか小学生のころ“ふきのとう”って国語の授業で習った気がして、調べたらやっぱりありました。
でもワタシの知識不足で、残念ながらここにその詩を載せることができない…
ごめんなさい。
でも“ふきのとう 工藤直子”と調べれば簡単に見つかるはずなので、気になる方は是非調べてみてください。
その詩には、
春のあたたかい陽を遮ってしまう寝坊助の竹やぶ、雪解けを待って一生懸命芽を出そうとするふきのとう。
この後どうなるんだろう、と読み進めていくと
おひさまの知らせで春風が吹いて、
よいしょ よいしょ
と、頑張って踏ん張ってふきのとうが出てくるのです。
それでまたこの詩のなにが素敵かって、
「こんにちは」
もうすっかりはるです
この、冬の終わりと春の始まりをバトンタッチするような締めくくり方が、なんとも優しく感じて、きっとワタシの頭の隅に記憶されてたのでしょう。
年が明けて、まだまだ寒くて、インフルエンザが流行って。
今度は新年度に向けて大人たちは
『あ~忙しい。あ~疲れた。』
とため息ばかりつく時期に入りました。
だけどワタシはこの日、あの八百屋のおかあさんから、まだ若いふきのとうと大きなセリ3束を買ったことで
たしかに、春がすぐそこまで来ているんだ
と心がすこしあったかくなりました。
八百屋のおかあさんに言った通り、彼は若いふきのとうを湯がいて、ひとつひとつ丁寧にみじん切りにしました。
それから、故郷から届いた味噌と和えて、頑張って踏ん張って出てきたまだ少し若いふきのとうを見事に“オリジナルふきのとう味噌”に仕上げてくれたのです。
(セリは3束お浸しにして、美味しく頂きましたよ。少し多かったけど…)
頑張って踏ん張って地上に顔を出したふきのとうが、スーパーのレジに並ぶ頃には、今より少しあったかくなるのでしょう。
オリジナルふきのとう味噌のおかげでワタシは春先取り!
なんて贅沢なんでしょう!
これからどんな春の野菜たちがスーパーに並ぶのか、とても楽しみです!
頑張って踏ん張って出てきたふきのとうってこんなに美味しいんだね。春がくるね!
ん?
違うな。
頑張って踏ん張って出てきたふきのとうを、美味しく変身させてくれてありがとう!
ですね。