雲外蒼天ダイアリー

接客・販売系企業に勤めて8年。多忙な毎日の積み重ねで、自律神経失調症・パニック障害を発症しました。今人生初の長期療養中でお休みしています。読書や映画鑑賞が大好き!感情移入の速さが人並みを超えています… シンプルで無駄のないミニマリストに憧れる27歳のアラサー女です。命あるものの心身と向き合いながら日々好奇心や親切心を大切に人生謳歌中です。ジャンル問わず様々なことを書いていきます。どうぞゆっくりご覧下さいませm(__)m♪

【何色が好き?】心のバリアフリーのパワー

こんにちは。

装飾のスキルがないので(勢いでブログを開設したから)文章ばかりですみません。

ご本人の承諾を得たので、今回は数年も前の話をお届けします。





「何色が好きですか?」


しまった、と思いました。
販売職をしてる人なら誰でも当たり前に通る道。

お客様のお好きな色
お客様の希望のシルエットを質問すること。


今目の前にいる女学生とそのお母様は、軽く腕を組んで、手には可愛らしいマスコットがついた白杖を持っていました。


(何色が好きかなんて、なんて質問したんだワタシは…アホだ…)


と思ってたら、その若い学生は


『…ピンク。がいいです。』


と呟きました。


これから接客をしようと意気込むワタシに、お母様は明るく

『あの子、小学生までは目が見えてたんです。だから、色や形は伝えられますから。』

と教えてくださいました。



瞬時に普段なかなか使うことない脳みそをフル回転させて、ワタシは今日、この親子に何か想いが伝われば100点だ!


と決めて接客をしました。



ワタシはその時間、彼女のコーディネーターとなって、フルセット着替えてもらいました。



お母様が試着室の前で心配そうに立っているのを見て、そうか、着慣れないウェアの試着を勧めることって正解なのか?


つい、お母様に聞いてしまいました。


答えは正解。


手伝ってほしいときは本人から求めてくるから、変に気を遣わない方がいいんだとお母様はおっしゃってくださり、お母様との話も盛り上がったところで、試着を終えてドアが開きました。


「バッチリじゃないですか!!!!」


思わず声が出てしまう、というより涙が出そうになったんです。


それは何故かというと、彼女が全身着替えて出てきた格好が、走るためのモノだったから。




ワタシは今まで歴は浅くとも数多くのお客様の接客をしてきましたし、自分の接客力には多少の自信がありました。
(もちろん過去の記事にある、救世主の仲間のおかげです)


スポーツウェアを身にまとって、ランニングシューズを履いた彼女は、とても輝いていました。


ワタシが選んだ服や靴を可愛い!欲しい!と元気に答えてくれたことはもちろん、

ランニングがしたい!走りたい!という彼女の前向きな気持ちに感動したのです。


お母様が嬉しそうに、可愛いね!すごく似合ってる!と笑ってくれたあの時間で、ワタシは販売員として、人として、ひとつ成長した気がしました。


その日の帰り道、真っ先に母に連絡しました。


昔から養護学校や特別支援に携わる仕事を夢見ていた母なら、これからワタシがどう関わっていったら良いかアドバイスしてくれると思ったからです。


電話口で母から思わぬアドバイスをもらいました。

素敵な人に出逢えて、よかったじゃない。
そのままよ、あなたが想ったまま行動したらいいよ。
過度なお手伝いや、過度な気配りが、彼女等にとっては有り難迷惑になることだってあるから。普通でいいの。普通に接しなさい。


そっか。


ワタシはその電話のあと家に帰って、ご飯を食べることを忘れるぐらい必死になって、教えて頂いたお住まいに宛てて、手紙を書きました。


感情に任せてペンを握っていたので、正直何を書いたか、もう忘れました。


ただどうしても伝えたいことがありました。


それは、

あなたが白い杖を持っていたから優しくしたわけではなく、当たり前のことをしただけ

ということ。


そのあとから、外苑前のおしゃれなカフェでワンプレートランチをしたり

ロープを握って二人で皇居を走ったり

お店に来てくれたときは、休憩時間を使ってお茶しにいったり

学業も真面目に取り組む子だし、ワタシも忙しいを理由になかなか時間をとれなくて、頻繁に会えていませんでした。


でも皇居を伴走したときに握りあったロープは、今でも親子と繋がっている気がします。


ワタシが点字を学びたいと言ったら、お母様からすぐに点字セットが送られてきました。


点字を使って手紙を書こうとしても、良いところで打ち間違えて、やり直し。

ファミレスに数時間、ただただ点字を打ってはミスして破って

たった一言“ありがとう”を伝えることにこんなに紙を無駄にしてしまうなんて情けない…


とへこんでいると、ホールに立ってる若いアルバイトみたいな女の子から(いつまでいるんだ、この人は…)と視線を感じて結局点字でメッセージを打てないまま、ファミレスをあとにしました。笑


その年の年賀状には、点字で新年の挨拶が届きました。


読み取れる嬉しさ、あえて簡単な挨拶で点字を打ってくれた彼女の優しさに、新年早々泣いたのも、もう1年も前の話。


入院して手術をすると聞いたときは、すぐに日程を調整して大きな病院に駆けつけました。

家族みんなが揃った病室の前で、車イスに座った彼女を見たらなぜか罪悪感。

こういうときは、日程を調整して会いに来ることができるのに、たまの誘いをいつも調整できていなかったことへの後悔でした。


バイバイ、またね。


って一瞬だったけど会えてよかった。


彼女には大きな夢があって、今その夢に向かって一生懸命学業に専念しているそうです。


日本をもっともっとバリアフリーな世界にしたい


絶対に夢叶うよ!



初めて会って、私たちが初めて新しい一歩踏み出したあの日のことを忘れません。

ピンチなときにそばにいてくれたり、優しくしてくれる人が本当の友達です。だから私たちはあなたの応援団としてサポートします!


パニック障害の話をしたときに二人がくれたメッセージです。

本当に前向きで素敵な親子に出逢うことができて、幸せに思います。


この二人に出逢ってから、黄色いポコポコの点字ブロックに自転車が乗っかってたりしたら、ついずらすようになりました。


日本のバリアフリーは、まだまだ他の国に比べたら土台がしっかりしてなくて、日本人って(ワタシも含めて)冷たいなぁと思うときがあります。

ただ、そう思えるようになったのはこの親子と出逢ったからです。

本当に本当にありがとう。


長い長いおはなしを最後まで読んでくださってありがとうございました。

この記事を読んだあと、身の回りにあるバリアフリーに是非目を向けてほしいと思います。


こんな偉そうなことを言えるようになったんだ。
ワタシあの日100点だったんだ!

さてと、お茶でも飲んでゆっくりするかな。